生首状態だったりばらばらのパーツだったりが出てきます。実際に試した作業工程を元に記事を書いていますが、ご自身でお試しの際は自己責任でお願いします。
作成途中の記事です。一部写真が間に合ってなかったり文章が中途半端だったりします。
こんにちは、しるこです。
ねんどろいどロシアさんの髪の毛パーツをカスタムするべく色々試したレポ第一弾、いちばんおてがる!エアブラシ一色吹きでリペイント!編をお届けします。
リペイントしてみたいけど失敗が怖くて躊躇っている人や、そもそも手順や使う道具などがさっぱり想像も出来ない人など、初心者さんが「🤔❓❓」となりがちなところを重点的に解説したつもりです。が、書いている人は模型趣味に関して独学・我流でセオリーぶん投げ気味なので、あくまでいち模型好きはこうしてるくらいの参考程度にしておいていただければ幸いです。
他にもリペイントの手法について解説している人はたくさんいるので、情報を色々収集して自分に合った方法を見付けてくださいね!
というわけで、今回ご紹介する一色吹きで実際にどうなるの❓というサンプルがこちら!
残念ながら手持ちのロシアさんの髪の毛リソース的な都合により、フランケンシュタイン的なブラックジャック的な、なんともいえない様相になっておりますが画面向かって右側の髪の毛が上塗りした部分です。
塗料「ガイアノーツのバーチャロンカラーVO01ウォームホワイト」をエアブラシで吹き付け、乾燥後「GSIクレオス(Mr.Hobby)のH-20水性ホビーカラーつや消しクリアー」を同じくエアブラシで吹いています。
乾燥機を使用して時短したので、全工程1時間も掛かってません。じっくりゆっくりやっても洗浄を除けば半日あれば出来るはず。お手軽!
でもこの記事はなるべく詳しく書こうと思ったら嫌になるほど長くなって、あんまりお手軽じゃなくなりました。ごめんね😆
上書き一色塗装について
技法的にちゃんとした名前があるのかもしれませんが、わかりやすく「上書き塗装」で行きます。
文字通り既製品の塗装の上からそのままエアブラシで一色吹くだけなので非常にお手軽です。ですがもちろんいいところばかりではありませんので、メリットとデメリットについてまとめました!
😉上書き塗装のメリット🥰
- 作業の難易度が低い
エアブラシが使えるなら、技術的に難しいところは特にないです。とはいえまったくの未経験から一発で綺麗に吹くのは難しいと思うので、エアブラシ初心者の人は適当なフィギュアやプラスチックスプーンなどで練習してから本番に臨みましょう。失敗するとリカバリが大変です。 - 短時間で仕上げられる
乾燥の早いラッカー塗料を使うので、念には念を入れてよーく乾燥させたとしても半日もあれば仕上げられます(トップコートの完全乾燥には2~3日くらい掛かります)。自宅に塗装環境がない人でも、レンタル塗装作業スペースなどを1回利用するだけで済みますね。 - 余計なことをしないので仕上がりが安定する
人間の手作業で行う以上、塗装を落とす/ヤスリを入れるなどの工程を挟めば挟むほど技術的なムラが出やすくなります。個人的にプラモもフィギュアも仕上がりは下地および表面処理で9割決まるものだと思うので、上からそのまま吹けばOK!なこの方法は仕上がりの安定感が抜群です。 - お財布にやさしい
エアブラシなどなにからなにまで全部揃えて自宅で!となるとやさしいどころか結構な金額の初期投資が必要になってしまいますが、今は作業スペースを併設した模型屋さんなども多いのでそういうところを利用すれば出費を抑えられます。
😥上書き塗装のデメリット💀
- カラーのコントロールがしづらい
今回上から吹く色が隠ぺい力の弱い白ということもあり、どうしても元の塗装の色の影響を受けます。受けないくらいに厚く吹いてしまうと毛先などがダレてしまうので、ある程度下の塗装が透ける前提で上から吹くわけですが、どの色を乗せたらどんな色になるのかは吹いてみないとわかりません。
塗料の白もいろいろあって全部を検証することは出来ないので今回「VO-01ウォームホワイト」を使っていますが、もし違う塗料を使う場合は全く異なる印象の仕上がりになる可能性があります。また元の塗装が透ける関係上、塗料そのままの色は出ませんのでご注意ください。(もちろん厚く塗れば下地の色の影響を抑えられます) - 陰影のメリハリが弱くなる
元の塗装が透けるといってもそこまでがっつり透けるわけではないので、シャドウ(色が濃くなっているところ/ロシアさんでいうと前髪の毛先がわかりやすいかも)はほぼ消えます。そのため、単調な印象になってしまうのは否めません。もちろんエアブラシでシャドウを吹けば解決出来ますが、今回の趣旨からは外れるのでそれはまた別の機会に。 - 有機溶剤(シンナー)臭やばい
慣れていない人にとってはたぶんこれが一番きついと思います。塗料の臭いで家族から大バッシングを受け、プラモの箱を抱えて塗装スペースを探し街をさまよう模型好き人間の目撃情報が全国各地で後を絶たない理由がよくわかるというものです。耐えられない人には耐えられないらしい…というか慣れていても吸い過ぎると普通に頭が痛くなったり気持ちが悪くなったり喉がおかしくなったりする有害なものなので、気分が悪くなったら決して無理をしてはいけません。あなたやご家族の健康に代わるものはありません。
それからご自身が平気でも、ペット(特にハムスターなどの小動物やトカゲなどのエキゾチックアニマルやタランチュラなどの繊細な虫)を飼っていて、離れレベルで隔離出来ない人は諦めてください。命に代わるものもありません。
こんな感じかな❓
そんなわけで今回ご紹介するカスタムは「塗装環境(レンタル塗装スペース)を用意出来る」「シンナーが大丈夫」な人向けです。「塗装環境が用意出来ない」「シンナーが無理」な人向けのカスタム方法は(実用レベルまで昇華出来たら)また別の記事にしますのでお待ちください。
いるものリスト
このカスタムにあたり必要なもの・あればいいものをまとめました!
模型用品は「名前や見た目は似てるけどまったくの別物」とか「全然違う名前と見た目だけど同じもの」とかザラにあってややこしいので、なるべく詳しく書いています。知ってる人はすっ飛ばしてください。
また、なるべく費用を安くするためにレンタル塗装スペースを借りることを前提としています。スペースのレンタル料はお店によって違うので、最寄りのお店に問い合わせてみてくださいね!
必要なもの
- 塗料(ガイアノーツ/バーチャロンカラー VO-01 ウォームホワイト)
今回吹いた塗料です。手持ちにあったガイアノーツさんの「バーチャロンカラー VO-01 ウォームホワイト 」を使用しました。アイボリー系のあたたかみのある白です。大好き。バーチャロンも大好き。
白いラッカー塗料は他にも色々あるので、どうしてもコレが良い!というこだわりの塗料があれば他のものでももちろん構いません。
- うすめ液(ガイアカラー薄め液)
いわゆる溶剤、シンナーです。ラッカー用であれば他メーカーさんのものでも構いません。写真には特大サイズが写っていますが、ロシアさんの髪の毛パーツを塗装するだけなら一番小さなサイズで十分です。(ガイアカラーシリーズだと一番小さいサイズで中です、たぶん)
- つや消しトップコート(GSIクレオス/プレミアムトップコート つや消しフラット)
写真には缶タイプと瓶タイプが両方写っていますが、どちらか一つで大丈夫です。レンタルのエアブラシはラッカー塗料以外は禁止されている場合もあるみたいなので、缶スプレータイプが無難かな❓
トップコートは別メーカーのものやラッカー系も含めると種類が山ほどあって訳がわからないと思いますが、今回は缶スプレーを購入するなら「水性」「プレミアムトップコート」「つや消し」と書いてあるものを選んでください…というか写真に写ってるのと同じものを買ってください。
ちなみに同じGSIクレオスから青い缶の「水性つや消しトップコート」という商品が出ています。こちらではなくプレミアムをおすすめする理由は、プレミアムトップコートの方が失敗(トップコートは吹き方を誤ると白化します)しづらいのと、塗膜が丈夫できめ細やかだからです。
- 塗装する髪パーツ
今回の主役です。PVCは丈夫な素材ですが、それでも細くなった毛先なんかはいとも容易く折れてえげつないことになるので、持ち運びの際は厳重すぎるくらい厳重に緩衝材に包みましょう。で、一番気を付けないといけないのがその緩衝材から取り出す時です。うっかり毛先に引っかかったまま緩衝材を引っ張ろうものなら、塗装どころじゃない惨状が広がることになります。ご注意ください。
レンタル作業スペースによっては塗料や溶剤などの使い放題プランが用意されていたり、〇色までは無料など条件付きでレンタルスペース費に含まれていたりする場合があるので、もしプランに含まれていれば髪パーツ以外は購入する必要がないかもしれません。その辺りは各自お店にご確認ください。
出来ればあった方がいいもの
- ゴム手袋(ニトリストシリーズ)
皮膚に良いわけがない溶剤を扱うので、出来ればパウダーフリータイプのゴム手袋を装備しましょう。もちろんゴムがダメなら無理して付ける必要はありません。溶剤や塗料が手についたら速やかに洗うようにすれば大丈夫。
ただ自分の手を保護するだけでなく、塗装対象に指から油脂汚れなどが付くのを防いでくれる効果もあるのでやっぱりあった方がいいっちゃいいです。
ショーワグローブさんのニトリストシリーズはサイズ展開も豊富で、模型の他にも料理や掃除にも使えて便利。ただ情勢的な都合で高騰してるので購入の際はご注意ください。コロナ前は一箱1000円しなかったんだけど、今だと1500~2000円くらいかな。あとAmazonでAmazonではない出品者から購入すると高確率で似せる気もなさそうな偽物が届くようで、レビューがひどいことになっています。
- キムワイプ
普通のティッシュだと毛羽立って塗装不良や汚れ、埃の混入の原因になるので、出来ればキムワイプか不織布のダスターがあると便利です。といっても今回のカスタムでは塗装の拭き取りなど塗装対象に直接干渉することはないので、そこまでこだわる必要はないといえばないです。お店によっては備え付けのものがあったりもするのかも❓
キムワイプには普通のティッシュボックスと同じサイズと約1/2の小さめサイズがありますが、模型に使うなら小さめサイズがおすすめです。模型用品は細々したものが多いので小さめサイズの方が無駄なく使えますし、見た目もサイコロっぽい形でかわいいです。
- マスク
ご時世的にあえて書く必要もないかなあ…と思ったのですが一応。
有機溶剤(シンナー)は非常に揮発しやすいため、塗料やら薄め液やらの蓋を開けた瞬間から容赦なく肺に突っ込んできます。エアブラシを使用する場合は塗装ブースが吸引しきれなかった塗料カスなども吸いこむことになります。当然身体に良いはずがありません。塗装の際はコロナ関係なくマスクは必ずしましょう。
とはいえ、短時間1回限りの塗装であればそこまで神経質になることもないと思うので、普段使いのマスクを二重にするくらいでも十分です。
ガチガチに防御を固めたいならまずは重松の防毒マスク(Not防塵)がサイズも豊富でお求めやすい価格なのでおすすめです。
- スポイト
溶剤をボトルから取り出す時に使います。なくても構わないんですが、うすめ液のボトルってどこのメーカーも垂れやすいのでうっかりシンナーをぶちまけたくなければあった方がいいかなあ~という感じです。
まあスポイトをボトルに挿しっぱなしにしてたら引っ掛けてボトル倒して盛大にぶちまけたっていう悲惨な事故もなくはないので、やりやすい方で!
買うなら模型用をおすすめします。100円ショップなどでも買えますが薄いので、シンナーでスポイト自体が溶けちゃって碌なことになりません。あ、でも1回使い捨てなら別にいいかも❓
- 調色スティック
レンタル塗装スペースなら常備されてる…と思うんですが、一応紹介しておきます。
ラッカー塗料は非常に沈殿・分離しやすく、使う前によく撹拌する必要があります。混ぜることが出来るならプラスチックの調色棒でもその辺のマドラーでもなんでも良いのですが、やはり模型専用のものが使いやすいです。
自分は昔買ったタミヤさんの金属製の調色スティック二本セット(大・小2種類入ってるやつ)を使っていますが、たぶんこのまま一生使えそうです。そう高いものでもないので、塗料とセットで購入しておくと思わぬ時に役に立つかも❓
使う度に綺麗に拭き取らないと、塗料が固着すると落とすのに苦労します。拭き取る時は先端部までしっかり拭き取りましょう、特に平べったい方。
代用品を使う場合は、割りばしなど木製だけは避けた方が無難です。貴重な塗料を吸ってしまいますし、木材中の余分な水分を塗料の中に吐き出したり木くずが混ざったりして塗料が劣化する原因になります。
レンタルスペースにあるか確認したいもの
- 塗装用持ち手&塗装ベース
ないと困るのでたぶん常備されているとは思いますが、心配な方はお店に確認しておくと良いです。
塗装はレンタルスペースでやって、トップコートは自宅で吹こうと思っている人は購入しましょう。模型メーカー製のものは結構割高なので自作する人が多いみたいです。
持ち手棒はクリップ+竹串、塗装ベースはホームセンターなどで売っているハニカム構造のネコの爪とぎを加工して代用するのが人気ですね。
ねんどろいどの髪の毛パーツはプラモのパーツと比べると段違いに重いので、既製品を購入するにしろ自作するにしろしっかり固定出来る大きめのクリップを推奨します。
- エアブラシ&コンプレッサー
模型用レンタル塗装スペースを謳っておきながらこれがないっていうのはまずあり得ませんが、スペース料金とは別にレンタル費が設定されている場合があるので利用前にしっかり確認しておきましょう。
余談:エアブラシには主に「シングルアクションタイプ」「ダブルアクションタイプ」「トリガータイプ」の三種類があり、それぞれ操作方法や使用感が違います。使い方はよほど忙しくない限りレンタルスペースのオーナーさんが教えてくれると思いますが、不安な方はネットで予習しておくと良いかもしれません。
自分が使っているのは初心者向けとお勧めして貰ったタミヤさんのHGトリガーです。握力がないのでシングルアクションやダブルアクションのエアブラシは持つだけできついのですが、トリガータイプは長時間の作業にお勧めされるだけあって持ちやすく操作もしやすいです。
- 塗装ブース
これも確認するまでもなく絶対にあると思いますが一応。
模型用のレンタルスペースは工作と塗装で分かれているところもあって、料金表が別に設定されている場合があります。今回使うのはもちろん塗装の方ですね!
こうして羅列していくとまったくお手軽ではないような気がしますが、ご紹介したツールのほとんどはレンタルスペースで借りられます。
自分で揃えようと思うと最低限でもこれくらい掛かるんだなーっていうのがわかると、多くの模型屋さんが心配になるほど良心的な価格でスペースを提供してくれている有難みが実感出来ます。今回記事を書くにあたり全国各地のレンタル塗装スペースの料金表を片っ端から見ましたが、もうちょっとくらい商売っ気を出してもいいのでは❓🤔と思わずにはいられないところが多かったです。
模型趣味は外から見ると取っつきにくいイメージがあるかも知れませんが、模型屋のオーナーさんは模型が好きだからやってる人がほとんどです。今はTwitterなどでお店の情報を発信していたり、お店に行けばレンタルスペースを見学させてくれたり設備の説明をしてくれたりするところもあります。あんまり身構えず、気軽に訪ねてみてください😉
作業手順
大まかな流れ
- パーツを洗浄する(30分~)
- 中性洗剤でパーツを洗います。
- 塗装する(1時間~)
- エアブラシで白を吹きます。ぶしゃー。
- 埃や塗り残しをチェックする(5分~)
- トップコートを吹く前に埃の付着や塗り残しがないかチェックします。あれば除去/重ね塗りで対処して乾燥させてから再度チェックです。
- つや消しトップコートを吹く(1時間~完全乾燥まで3日くらい)
- トップコートを吹きます。ぶしゃー。吹き終わったらよく乾燥させましょう。
手順詳細
パーツを洗浄する【推奨作業場:自宅】
適当な桶などに中性洗剤を適宜加えたぬるま湯(30~40℃くらい)を張り、しばらくパーツを浸けておきます。
今回は元の塗装の上からそのまま塗装を重ねるので、塗装面を綺麗にするために行う作業です。埃などの目に見える汚れはもちろん、重要なのが素手で触った時などに付着する皮脂の除去です。これが残っていると塗装が上手く乗らなかったりムラが出来たりします。
お湯の温度は高くなりすぎないようにしましょう。髪の毛パーツに使われているPVC(ポリ塩化ビニル/塩ビ)は65℃~85℃で軟化するため、温度が高い湯に長時間浸けていると変形してしまう恐れがあります。
取り出したばかりのほぼ新品のパーツなら数十分浸けておくだけで十分ですが、汚れが酷かったりべたつきがある場合はやわらかいブラシやスポンジでやさしく表面を撫でてあげましょう。ごしごしすると傷がついてしまうので注意してください。
浸け置き後はぬるま湯でよく洗い流し、洗剤をしっかり落とします。ここで洗剤が残ってしまうとやはり塗装の失敗に繋がるので、しつこいくらいに流してください。
洗い終わったらしっかりと乾燥させます。模型用の乾燥機に入れるか、なければ直射日光が当たらず埃がつきにくい場所で自然乾燥させます。水分を拭き取る場合は繊維がつきにくいキムワイプや不織布を使いましょう。ドライヤーでの乾燥は変形や埃の付着の恐れがあるのであまりおすすめしません。
水分が残っていると上手く塗装が出来ないので、自然乾燥の場合は最低でも一晩くらいは放置しておくと良いです。
天気予報を確認する【推奨タイミング:塗装する前】
冗談でもなんでもなく最重要事項です。
雨の日および湿度が高い日にエアブラシで塗装するのは避けましょう。その時晴れていても、前日が雨だったとか明日から雨の予報だとか、そういう日も避けた方が無難です。湿度80%以上の日は塗装のことは忘れましょう。
理由は高温多湿な環境では白化現象(カブリ/塗装した箇所が白っぽくなる)が起こりやすいからです。詳しくはググるか、GSIクレオスさんのこのツイート👇がわかりやすいかも。
プラモだったら最悪全部落として塗装やり直しすればいいだけなんですが、既製品PVCでカブったらリカバリが面倒なので…😂
あと個人的な意見になりますが、人間の体感湿度はまったく当てにならないので湿度計はあった方が良いです。
エアブラシで白を吹く【推奨作業場:レンタル塗装スペース】
本番パーツに吹く前に、適当なフィギュアやプラスプーンなどに吹いてみてエアブラシの癖を把握しましょう。塗料の濃度は適切か(塗膜がブツブツざらざらしていないか、ムラが出来ていないか)、どれくらいの距離・時間で液だれするかも確認しておくと良いです。
このカスタムはラッカー(厳密にはちょっと違うけど)で塗装された既製品の上に更にラッカー塗料を吹く形です。ラッカーはラッカー溶剤で溶けるので、一度に吹き過ぎてしまうと元々の塗装が滲んで上塗りした塗装と混ざってしまい(=塗装が泣く)たいへん悲惨なことになります。焦らず少しずつ薄く塗り重ねていきましょう。パーツ表面が肉眼で濡れているように見えたら塗り過ぎです。泣きます。
目安として、1度目の塗装:ほとんど色が変わってない→乾燥→2度目の塗装:うっすら白い→乾燥→3度目の塗装:わりと白い→乾燥→4度目の塗装:だいぶ白いくらいの感じで徐々に塗装していきます。好みの色合いになるまでこれを繰り返しますが、あまり厚く吹き過ぎると毛先がダレたりモールドが埋まったりするので注意しましょう。
一色塗りなので均等に吹いていきます。
パーツの形状上色が入りにくいところがあるので、そこから優先的に吹いていきましょう。後から色を入れようとすると、その周辺の塗膜が無駄に厚くなってしまい塗装ムラに繋がります。
気を付けるところはだいたいこんな感じです。
前髪なら分け目の内側、頭頂部の癖毛の下、横髪の裏側。後ろ髪は毛先の下側、襟足の下側、耳の裏側など、色が乗りにくいわけではないけど忘れがちなところも合わせてご注意ください。
上の画像は実際に塗装した髪の毛パーツと、使用した塗料で塗装した透明プラスプーンの色を比較したものです。(VO-43の方はなんとなく置きました)
比べて見るとかなり色が違うのがわかります。これだと髪パーツの方はかなり灰色に見えますが、顔パーツやボディと合わせると印象が変わるので良い塩梅を見極めるために顔やボディと合わせたり別光源で照らしたり写真を撮ったりしてこまめに全体のバランスを確認しましょう。
その際、乾燥していない状態ではめたり、溶剤が顔パーツやボディに付着しないよう細心の注意を払ってください。もし捨てていなければ、ブリスター内の梱包に使われていた保護用ビニールを被せておくと安心です。
髪の毛に話を戻して、どれくらいの白さを目指すかはお好み次第ですが、マフラーやハンドパーツの白と比較してはっきり違いがわかる程度の白さを目安にするとちゃんと髪の毛っぽく見えるんじゃないかなーと思います。
塗装中に埃の付着に気付いても、乾くまでは絶対に触らないでください。乾いたら塗り重ねる前に都度埃を除去します。
埃や塗り残しをチェックする【推奨作業場:レンタル塗装スペース】
塗装が終わって指で触っても問題ない程度に乾いたら、塗装に埃を巻き込んでいないか、塗り残しがないかなどをチェックします。
埃が付着していたらデザインナイフの背や#800~#1000のヤスリでそっと撫でて除去します。塗膜に傷をつけないように気を付けましょう。
いろんな角度から肉眼でチェックするだけでなく、カメラ越しに確認するのも有効です。綺麗に撮ろうとすると気になるところをちゃんと見付けられる気がします。
つや消しトップコートを吹く【推奨作業場:レンタル塗装スペース】
仕上げです。
あんまり缶タイプのスプレーの扱いが得意ではないので言えることが特にありません。
とりあえずこの動画を見ておけば問題ないと思います。
噴射量を調節出来ないため細吹き不可なのが、地味に入り組んだ構造をしているロシアさんの髪の毛とはやっぱり相性が悪いですが、意識してスプレーが入りにくいところから吹いていけばちゃんと綺麗に吹けます。
トップコートはつや消し効果だけでなく、塗装面の保護としても重要です。
顔パーツへの色移りを防止するため、前髪の裏側や横髪の内側、後ろ髪にある耳の裏側にあたる箇所などはしっかりめに吹きましょう。
缶スプレーは使っているうちに缶がどんどん冷えていきますが、冷えれば冷えるほどスプレーの精度が落ちます。あまり連続使用はせず、缶が冷たくなってきたらパーツの乾燥がてら缶も休ませてあげましょう。休ませた後は再度振りまくって撹拌することを忘れずに!
最後の埃チェックをしてしばらく安静に!【推奨作業場:自宅】
トップコートが乾いたら再度埃の付着がないか、トップコートがムラになっていないかなどをチェックします。
問題なければ完成です。
表面が乾いているように見えても、内部が完全に乾燥するまで(溶剤が抜けきるまで)には結構時間がかかります。3日~1週間くらいはべたべた触らず、なるべくそっとしておいてあげましょう。
お疲れさまでした!
補足など
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PVCってなに?
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ポリ塩化ビニル、通称塩ビです。ねんどろいどの関節以外(関節はABSが用いられることが多いです)、本体部分は大体PVCで出来ています。
プラスチック素材の中でも特に加工性に優れており、フィギュア以外にも衣類やバッグなどの軟質製品から水道管などの硬質製品まで様々な用途に用いられる、五大汎用樹脂の一つです。
組成(主に可塑剤の含有量)によって固さが変わり、フィギュアでいうと特に柔らかい軟質ポリ塩化ビニルはソフビの通称で広く知られています。フィギュア製品として重要になるPVCの特性は「軽く高耐久で安価」「耐薬性に優れている:酸やアルカリに強く硫化水素で劣化しない」「耐水性に優れている:水に浸食されない」「耐熱性は低め:65℃~85℃で軟化する」「耐寒性も低め:5℃以下の状況化では耐衝撃性が著しく低下し破損しやすくなる」「一部の有機溶剤に弱い:シンナーやアセトンで溶ける」「キズや穴に弱い:応力集中による破損が起こりやすい」などが挙げられます。
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ラッカーの臭いがネックなら他の塗料を使えば良いのでは?
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素材との相性もありますし塗装環境にもよりますしネット上だけでも異なる意見が散見されるので一概には言えませんが、自分の経験上PVCに塗って問題ないと言い切れるのはPVC専用塗料以外だとラッカー塗料だけです。
実際にPVCにアクリル塗料とエナメル塗料を試しましたが、塗装後しばらくは良くても数ヶ月もするとべたつきが出てきます。酷い時はそもそも乾きません。上からつや消しトップコートを吹いているにもかかわらず、何故かつやつやしはじめたりもします。特にエナメルがそうでした。下地にプライマーを吹けば問題なさそうではありますが、その手間をかけるならラッカーで良くない❓ってことでラッカーを使っています。
ちなみにちょっと古い記事ですが、グッドスマイルカンパニーカホタンブログさんでエナメル塗料を使った塗装剥げの修復 が紹介されています。これと全く同じ手法で全く同じ塗料を使ってねんどろいどの髪の毛パーツに試してみたことがあるんですが、やっぱり数ヶ月で若干べたつきました。可塑剤の染み出しによるべたつきと同じ感じです。
最近のねんどろいどは昔ほど酷くべたつくことはない印象ですが可塑剤自体は今もPVCに含まれているはずなので、可塑剤の染み出し自体はあると思います。そのまま蒸発すれば問題ないのですが、フィギュアの表面で上塗りしたエナメル塗料と可塑剤の油分が結合した結果べたつく=半永久的に乾かなくなる/つやつやするのではないかなー、などと素人なりに憶測で考えてみました。
ただこれだと、プライマーで下地処理しようが上からエナメルで塗ったらべたつくはずなんですよね。PVC専用塗料をすり抜ける可塑剤がプライマーは通れない、っていうなら話は別なんですけど。うーん…🤔🤔❓❓可塑剤によるべたつきは個体差が激しい現象で、同じ保管環境の同じ商品でもべたついたり無事だったり、一つの商品の中で一部のパーツだけがべたついたり、なんというか運!!みたいなところが大きいです。
PVCにエナメル塗料を塗った時に発生するべたつきが可塑剤由来のものだと仮定した場合、これも運!!!ってことになるんだと思います。問題ない時は問題ない。ただやっぱり、そういうリスクを踏むくらいならラッカーで良くない❓❓っていうのが正直なところですね。
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PVCはシンナーで溶けるって書いてあるけど大丈夫?
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シンナーの中に浸けて数十分~数時間放置とかしないかぎりよほど大丈夫です。
ただ、多少の影響はあります。塗装落としのためシンナーによるふき取りを十数回繰り返した頭部パーツは明らかにかみ合わせが悪くなりました。ぎちぎちする感じ。とはいえ十数回繰り返しても見た目に大きな変化はなく、かみ合わせが悪いといってもはまらないほど変形するわけではないので、やっぱりよほど大丈夫です。